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の仮定の妥当性を確認しながら改良していかねばならない。このような観点から、先に述べた模型実験は理論の改良に大いに役立った。図4にその一例を示す。これは、従来はキールラインから流出させていた渦を模型実験で認められたように両舷のビルジ部に変更して精度を向上させた例である。

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このようにして理論計算法を改良する一方で、改良された理論を用いて船型要目が大きく異なる船型の操縦性能を計算し理論の汎用性も確認した。細長体理論による操縦性能の推定は次に述べるCFDによる計算精度には及ばないものの、船体形状を決定していく初期の船型計画段階ではむしろ多くのパラメータスタディができる意味で貴重である。
次に操縦運動中の流体力を求める新しい試みとして、本研究部会ではNS−Solverに基づく数値計算(CFD)と船体、プロペラおよび舵をモデル化した干渉計算を実施し、それらの有効性を確認した。図5に示されるように理論計算結果は実験で求められた船体表面の圧力分布や操縦運動中の舵力やプロペラ推力との比較がなされ、今後の操縦性能推定精度向上にこれらの理論計算が必要不可欠であることが明らかとなった。

図5 斜航中の圧力分布と横力(CFD及び実験)

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